今回は、比較的多くの方が内服しているピルについて解説したいと思います!!
この記事はこんな人にオススメです♪
- ピルを飲んでいるけど、毎日欠かさず飲まないといけない理由が分からない
- いろんな種類があるけど違いは何か気になる
はじめに
ピルとは、2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が含まれている錠剤のことを言います。
日本の場合、ピルというと一般的には避妊目的で使用される経口避妊薬(OC)のイメージが強く、あまり良いイメージがないですよね💦
でも、うちの部長はいつも「全女性がピルを飲むべきだ」とお話をされていたり、実際、産婦人科の先生でピルを飲んでいる方は結構多いです!
どうしてそんなに良いのかというと、、、、
ピルは、排卵を抑制するので避妊の効果があります。その他にも、生理中や生理前の症状を軽くしたり、生理周期の調節、肌荒れの改善にもなるんです✨。
さらに、子宮筋腫や子宮内膜症など婦人科疾患を抑制する効果もあります。
詳しい解説は別のブログで解説します♪
そして、妊娠をしたい場合はピルを中止すれば問題ありません。
経口避妊薬(OC) vs 低用量ピル(LEP)
経口避妊薬(OC : Oral Contraceptives)と低用量ピル(LEP : Low dose Estrogen Progestin)の2種類があります。
OCは、避妊を目的に処方されるので、保険は適応外です(自費)。
それに対して、LEPは月経困難症の治療目的に処方されるので、保険適応です。
OCとLEPの分類を以下に示しますね!
たくさんありすぎ!!!
めっちゃあるんですよね💦
ここから、黄体ホルモンの種類や値段、投薬周期の違いによってそれぞれに合ったピルを処方します👍
では、薬の違いをみていきましょう!!
黄体ホルモン(プロゲステロン)の種類
黄体ホルモン(プロゲステロン)とは、生理の後半2週間のタイミングで主に分泌されるホルモンです。
プロゲステロンは、受精卵がきちんと子宮内に落ち着けるように(これを着床といいます)、子宮内膜を適した状態にするはたらきがあります。生理の仕組みに関してはまた別記事で解説します😊
プロゲステロンの種類を以下に示します。
- 第1世代:NET(ノルエチステロン)
- 第2世代:LNG(レボノルゲストレル)
- 第3世代:DSG(デゾゲストレル)
- 第4世代:DRSP(ドロスピレノン)
違いは、副作用であるアンドロゲン作用の強さです。
アンドロゲン作用(男性ホルモン作用)とは、、、食欲増進、体重増加、多毛、ニキビなどの症状です。
この作用が世代が進むにつれて作用が弱くなります。
第1世代:ノルエチステロン
プロゲステロン製剤として最初に使用されたものです。
プロゲステロン製剤は、人工的に妊娠時のような状態にするので、つわりのような嘔気や全身倦怠感といった副作用が出現します。
この副作用を防ぐために、プロゲステロンに卵胞ホルモン(エストロゲン)を加えることで、排卵抑制効果を保ったまま、プロゲステロンの量を減らすことに成功しました(第1世代の誕生)👏👏
しかし、プロゲステロンの含有量を減らしたことで、嘔気などの副作用を抑えることはできましたが、子宮内膜の安定化も低下してしまい、不正出血が出るようになってしまいました💦
第2世代:レボノルゲストレル
そこで、プロゲステロンが少量でも子宮内膜が安定するような製剤を開発💡
それが「レボノルゲストレル」!!
しかし、同時にニキビや多毛など、アンドロゲン作用が強くなりました。。。。
エストロゲンを増やしてトントンにしようと思ったけど、エストロゲンを増やすと血栓のリスクが高くなるからなかなか増やせない💦
堂々巡りだね
第3世代:デソゲストレル
プロゲステロンの男性ホルモン作用を少なくしたのが第3世代と第4世代!!
第3世代は、第2世代のレボノルゲストレルを一部改良したもので名を「デソゲストレル」
なんかすごそう♪
強いプロゲステロン作用を保ちつつも、アンドロゲン活性を弱めることに成功🎊🎊
また、デソゲストレルは他のプロゲステロンと比較してLH分泌を抑制するので強い排卵抑制作用があります。これは排卵しにくいということなので、避妊効果が強いです。
そして、LH分泌を抑制することでテストステロンの産生を抑制できるので、にきびなどにも効果があると言われています
第4世代:ドロスピレノン
これに対して、第4世代はこれまでとは全く違ったアプローチで開発されました!!!
いったい何だろう??
なんと、プロゲステロンではなく利尿薬ホルモンを基に生成!!
それが第4世代「ドロスピレノン」!!!
利尿ホルモンをベースにつくられているからアンドロゲン作用を0にすることに成功!!!
アンドロゲン作用もないため、ニキビにも効果あり!!
また、利尿作用があるため、むくみが気になる人にもGood!!
すごすぎる✨
ただ、プロゲステロンの作用も低くなってしまったため、不正出血の頻度は増えちゃいました💦
以上がプロゲステロンの分類です。
重要なのが、新しい世代の方が良いというわけではありません!!
現在のピルは、副作用を抑えつつ、効果を最大限に発揮できるよう含有量は調整されています。
そして、各世代の特徴を考慮し、患者さんに合った処方を行います😊
1相性 vs 3相性
OC、LEPには2種類のホルモン、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が入っています。
そのうち、エストロゲンの含有量は一定です(例外はありますが)
それに対して、プロゲステロンは1相性と3相性によってが含有量が異なります。
1相性
プロゲステロンも一定量含まれているタイプです。
3相性
3相性では、プロゲステロンが月経周期の期間により段階的に異なります。
自然の生理では、排卵後後半の時期(前回生理から2週間以降)にプロゲステロンは増えます。
3相性は比較的自然の生理と似たようなホルモン動態になります
つまり、不正出血が起こりにくいというメリットがあります!!
周期の違い
次に、周期の違いについて説明します。
内服の周期は以下のように4種類あります。
①1シート21錠タイプ
②1シート28錠タイプ
③フレックスタイプ
④連続服用タイプ
①1シート21錠タイプ
参照:ファボワール
21錠全てに有効成分が入っています。周期は28日なので、21日間服用し、7日間は自分で休薬することになります。
7日間飲まないので、次周期の内服を忘れがちになります💦
②1シート28錠タイプ
参照:ファボワール
1シート21錠タイプの写真と少し違いますよね?
一番下の列に色の違う薬がある!
そうです!最初21錠には有効成分が入っており、残り7日間はプラセボ(有効成分なし)なんです!
休薬期間も内服することで、内服する習慣を崩さないので飲み忘れを防ぐことができます💡
③フレックスタイプ
国内ではヤーズフレックスだけです
参照:バイエルベターライフナビ
すべて有効成分が入っており、最大で4シート+αの120日分まで連続で内服可能!!120日内服したら4日間は休薬します。
ただし、2日以上の不正出血が続いたら、内服を中止して、4日間休薬してリセットします。休薬終了翌日からは、飲みかけのシートの続きから再開します。
月経自体の回数を減らすため、月経に関わる強い症状や婦人科疾患に対して有効な可能性があります✨
④連続服用タイプ
国内では、ジェミーナのみです。
28錠タイプ×2シート、21錠タイプ×1シート、計77日間連続で内服することが可能です
これも③みたいに周期が長いんだね
そうなんです!月経自体の回数を減らす(年3回)ので、生理症状がつらい人や、婦人科疾患に対して有効な可能性があります。
そして、③のヤーズフレックスとの違いは、不正出血が起きても77日間までなら連続投与が可能!
そのため、より計画的な連続投与が可能になります
内服の注意点
LEPは月経周期に合わせて内服するので他の薬とは少し違う点がいくつかあります。
- 1日1錠、毎日決まった時間に内服する
ホルモンには日内変動といって1日の中でも分泌量の多い時間と少ない時間などがあり、一定の周期があります。似たような状況をつくるために毎日決まった時間に内服する必要があります。
- シートの順番に沿って内服する
1シート28錠タイプのようにプラセボを内服する場合があります。同じシートに成分の異なる錠剤が含まれているので順番は重要です。
- 飲み忘れないように!
内服をし続けているときは、避妊効果が持続しています。しかし、飲み忘れがあると避妊効果が下がってしまうので注意してください。
副作用
主な副作用は、不正出血、吐き気、頭痛、むくみ、乳房のはりなどがあります。
しかし、これらのマイナートラブルは3ヵ月程度内服を続けたり、他のピルへ変更すると解決することが多いです。
副作用の中でとくに 注意が必要なのは「静脈血栓塞栓症(VTE)」です。
これは、固まった血液が静脈に詰まってしまった状態のことを言います。
何がそんなに怖いの?
静脈に詰まっていた血の塊が、肺へ飛び、呼吸が出来なくなり最悪の場合、死に至る場合があります。「エコノミークラス症候群」というものです。
VTEの発生頻度は、通常の人は1万人に1~5人程度ですが、ピルを内服すると1万人に3~9人とやや発症率が高くなります。
妊婦・褥婦さんよりは高くはありませんが、やや発症率が高くなるので注意をしましょう。
何を注意したらいいの?
次のような症状を自覚した場合は内服をやめて、すぐに病院を受診してください⚡
- 激しい腹痛
- 激しい胸痛、呼吸困難
- 激しい頭痛
- 視野障害、言語障害、意識障害
- ふくらはぎに痛み・熱感・赤みが出てきた場合
特に上3つの症状は「突然」という点がポイントです💡
最後に
いかがでしたでしょうか?
多すぎて結局何がいいのか分からない。。。。
共通して言えるのは、ピルは体質によっ合う・合わないがあるので、実際に試してみるしかありません。
どのピルを用いるかは医師とよく相談することが大切です。
結局そこかーい!!
はい(笑)
かなり長い内容になってしまいましたが、ここまで見て頂き本当にありがとうございます!!
これからも女性のサポートができるような情報を発信するのでこれからもよろしくお願いします😊
【参考文献】
産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023
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