こんにちは!今回はピルについて解説していきます!
この記事はこんな人にオススメです!
・ピルに抵抗を感じている人
・ピルを飲むべきか分からない人
・ピルを飲むか迷っている人
そもそもピルとは何でしょう?
ピルとはエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンの配合錠で、経口避妊薬(oral contraceptive : OC)と低用量エストロゲン・プロゲステロン(low dose estrogen progestin : LEP)の2種類があります。
OCは避妊を目的として使用され、保険適応外の薬となります。一方、LEPは月経困難症の治療目的に使用され保険適応の薬となります。使用用途によって変わりますが、諸外国ではOCとLEPの区別はないため、ここではピルと統一して解説します!
ピルの種類について詳しく知りたい方はこの記事を参照してください😊
ピルのメリットは以下のようにたくさんあります✨
●生理の悩みが解消(月経困難症⇩、過多月経⇩、月経不順⇩(月経周期の調節)、PMS⇩)
●婦人科疾患改善(子宮内膜症⇩、機能性卵巣嚢胞⇩)
●骨粗鬆症を予防
●ニキビの改善
●がんになりにくい(卵巣がん⇩、子宮体癌⇩、大腸癌⇩)
どうしてこんなにたくさんのメリットがあるの?
それは生理の仕組みを理解するとわかりやすいよ!!
ということで、生理とピルの仕組みについて解説していきます!!
生理の仕組み
生理は毎月来るけど、いまいちよくわかってないな~
生理とは、約1カ月の周期で起こる周期的な出血のことで、医療用語では「月経」と呼びます。
「妊娠に向けて準備したけど不要でした~」ということで、子宮内膜の肥厚部分が血と共に外に排出されているタイミングです!
子宮は、妊娠しても大丈夫な環境をつくるために①増殖期と②分泌期、③月経期の3つのステップがあります。
増殖期
出典:病気がみえるvol.9 婦人科・乳腺外科(第4版)
増殖期では、エストロゲンが増加します。エストロゲンが増えることで子宮内膜が増殖・肥厚します。
受精卵が着床しても大丈夫なようにエストロゲンがベッドの骨組みをつくっているんだね💡
内膜が厚くなるほど排出するものが増えるので過多月経になります
分泌期
卵胞が卵巣から卵管へ移動(排卵)し、受精しても大丈夫な状態になった後のタイミングを「分泌期」といいます。分泌期では主にプロゲステロンがはたらきます。
分泌期ではプロゲステロンが分泌物を分泌する仕組みをつくることでベッドの骨組みにふかふかのベッドを敷いき、受精卵が気持ちい状態で寝床につけるように整えます。
プロゲステロンがふかふかのベッドを敷くんだね💡
以上の過程で妊娠しても良い状態を整えます。
生理の前にはこんなに大きな変化が起こっているのか⚡
しかし、妊娠をしなかった場合はベッドを壊さないといけません。それが次の月経期(いわゆる生理)です。
月経期
月経期は作ったベッドを取り壊す期間です。
月経期では、エストロゲンとプロゲステロンが急激に低下することで今まで作られていたベッドが取り壊されて子宮外へ排出されます。これが出血となって生理がきます。
いつも生理の最初が1番つらい。。。
ベッドの取り壊し作業でどうしてお腹が痛くなったりするの?
では、次に生理中の悩みの原因について解説していきます!!
生理中の悩みの原因
生理中の主な悩みとして、次の3つがあります。
①月経前症候群、②月経困難症、③過多月経
月経前症候群
月経前症候群(PMS : premenstrual syndrome)とは、生理前3~10日の期間に続く精神的あるいは身体的症状のことで、生理が来ると軽減or消失するものです。
精神科領域では、月経前不快気分障害(PMDD)という用語が使われています。
精神的なものは、イライラ、怒りっぽい、抑うつ状態などで、身体症状は乳房の張りや痛み、顔や足のむくみが挙げられます。明らかな原因は不明ですが、エストロゲンとプロゲステロンのバランスの悪さなどが考えられています。
月経困難症
月経困難症とは、生理に随伴して起こる病的な症状で、日常生活に支障をきたし治療の対象となる場合を言います。生理前~生理開始2日目頃に症状が出現して、生理終了前~終了時に症状は消えます。
下腹部痛や腰痛、お腹の張る感じや悪心、頭痛などの強い症状を認めます。
月経困難症は子宮内膜から産生されるプロスタグランジン(PG)という炎症を起こす物質が多いことが報告されています。プロスタグランジンが子宮筋を「ぎゅーーー」って収縮させることで子宮内膜を剥がしているのですが、これが強すぎると腹痛などの症状が出現していると考えられています。
過多月経
過多月経とは、出血量が異常に多いものをいいます。原因として、子宮筋腫や子宮腺筋症などの良性疾患が隠れているん可能性があります。
症状は本当に人それぞれです。
次にピルを飲むと生理のサイクルがどのように変わるのかみていきましょう!!
ピルのしくみ
ピルを内服すると、エストロゲンとプロゲステロンが常に存在する状態になります。
つまり、3ステップの中の分泌期と似ている状態ということです!
この状態だとなにが良いの?
エストロゲンとプロゲステロンが存在すると、脳にあるホルモンをだす司令塔が、
🧠「2つともあるからホルモンを出すように指令しなくていいか!」って認識します。
そうなると体内からのホルモン分泌は減少するため低用量のエストロゲンとプロゲステロンのみの状態となります。
すると、、、、
①ホルモンのバランスが保たれる
→月経前症候群の改善
・増殖期がなくなり子宮内膜が肥厚が抑えられると、、、
②排出するために過度な子宮収縮になる必要がなくなる
→月経困難症の改善
③剥がれ落ちる内膜が薄い(排出物が少ない)
→過多月経&貧血の改善
また、排卵が起こらないため高い避妊効果があります。
これらの症状が改善し、日常生活のQOLが爆上がりします✨✨
また、エストロゲンに依存する婦人科疾患(子宮内膜症など)の症状を改善し、子宮体癌のリスクも下げます。さらに、排卵回数を減らし卵巣へのダメージを減らすので卵巣がんのリスクも減らすといわれています。
まさに良いことづくしだね🎶
部長も「女性全員がピルを飲むべきだ」と言われるし、周りの女医さんもピルを飲んでいる人は多いです!
でも、ピルをのむデメリットもあるでしょ?
デメリットも0ではないです💦
では、次にデメリットについて解説していきます!!
ピルのデメリット
デメリットには以下のものがあります。
・副作用がある
・ピルを長期内服すると子宮頸がんリスクが増加する可能性がある
・すでに発症している乳癌・子宮体癌は増悪させる可能性がある
新たな乳癌や卵巣がん、子宮体癌の発症は増加しません。
先ほどお伝えしたように卵巣がん・子宮体癌に関してはむしろ減少させます!
副作用
主な副作用は、不正出血、吐き気、頭痛、むくみ、乳房のはりなどがあります。
しかし、これらのマイナートラブルは3ヵ月程度内服を続けたり、他のピルへ変更すると解決することが多いです。
副作用の中で特に注意が必要なのは「静脈血栓塞栓症(VTE)」です。
これは、固まった血液が静脈に詰まってしまった状態のことを言います。
何がそんなに怖いの?
静脈に詰まっていた血の塊が、肺へ飛び、呼吸が出来なくなります。最悪の場合、死に至る場合があります。「エコノミークラス症候群」というものです。
VTEの発生頻度は、通常の人は1万人に1~5人程度ですが、ピルを内服すると1万人に3~9人とやや発症率が高くなります。
妊婦・褥婦さんほど高くはありませんが、やや発症率が高くなるので注意をしましょう。
じゃあ何に注意したらいい?
血が固まりにくくなるように水分をしっかりとりましょう!
そして次のような症状を自覚した場合は内服をやめて、すぐに病院を受診してください⚡
- 激しい腹痛
- 激しい胸痛、呼吸困難
- 激しい頭痛
- 視野障害、言語障害、意識障害
- ふくらはぎに痛み・熱感・赤みが出てきた場合
特に上3つの症状は「突然」という点がポイントです!!
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回はピルについて、生理の仕組みから解説してメリットとデメリットをお伝えしました。
ピルの違いについて知りたい方はこちらの記事を参考にしてみて下さい♪
この記事を読んで、毎月しんどい思いをしている人が少しでも減ったら嬉しいです(#^^#)✨
最後までお読み頂きありがとうございました🥰
【参考文献】
産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023
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