「ピルを飲むと、なぜ生理が軽くなったり避妊できたりするの?」
そう疑問に思ったことはありませんか?
ピルの効果を正しく理解するには、まず私たちの体で毎月起こっている「生理の仕組み」を知ることが近道です。
この記事では、生理のメカニズムから、ピルがそこにどう働きかけているのかを順番にわかりやすく解説します。

この記事はこんな人にオススメです!
- 生理はなんとなく知っているけど、詳しい仕組みは知らない方
- ピルがなぜ効くのか、理由から理解したい方
- 生理痛やPMSがなぜ起こるのか知りたい方
- ピルを始める前に、体の変化をきちんと知っておきたい方
【基礎知識】ピルとは何か?種類と費用を知ろう
ピルの正体|2つの女性ホルモンの組み合わせ

ピルとはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンを含んだ錠剤のことです。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の働き
- 子宮内膜(赤ちゃんのベッドになる部分)を厚くする
- 女性らしい体つきを作る
- 骨を丈夫にする
- 肌や髪の潤いを保つ
プロゲステロン(黄体ホルモン)の働き
- 子宮内膜を妊娠に適した状態に整える
- 基礎体温を上げる
- 水分をため込む(むくみの原因にもなる)
- 食欲を増やす
この2つのホルモンのバランスをコントロールすることで、生理痛の改善や避妊効果が得られるのです。
「低用量ピル」と呼ばれるのは、ホルモンの量を必要最小限に抑えているからです。
体に負担をかけずに、さまざまな効果を得ることができます。
日本で使われている2種類のピル
日本では、使用目的によって以下の2種類に分類されます。
■ OC(オーシー:経口避妊薬)
正式名称は「Oral Contraceptive(オーラル・コントラセプティブ)」といいます。
- 主な目的:避妊
- 保険適用:なし(自費診療)
- 1か月の費用:約2,000~3,000円
- 処方:産婦人科クリニック、オンライン診療も可能
■ LEP(レップ:低用量エストロゲン・プロゲステロン配合剤)
正式名称は「Low dose Estrogen Progestin(ロー・ドーズ・エストロゲン・プロゲスチン)」といいます。
- 主な目的:月経困難症(生理痛)や子宮内膜症の治療
- 保険適用:あり
- 1か月の費用:約500~2,000円(3割負担の場合)
- 処方:産婦人科での診察が必要
実は、OCとLEPは成分がほぼ同じです。
海外では区別されておらず、使用目的によって日本で呼び方が変わるだけです。
この記事では、わかりやすく「ピル」と統一して説明していきます。
ピルの種類について詳しく知りたい方はこの記事を参照してください😊

ピルのメリットは以下のようにたくさんあります✨
●生理の悩みが解消(月経困難症⇩、過多月経⇩、月経不順⇩(月経周期の調節)、PMS⇩)
●婦人科疾患改善(子宮内膜症⇩、機能性卵巣嚢胞⇩)
●骨粗鬆症を予防
●ニキビの改善
●がんになりにくい(卵巣がん⇩、子宮体癌⇩、大腸癌⇩)

どうしてこんなにたくさんのメリットがあるの?

それは生理の仕組みを理解するとわかりやすいよ!!
ということで、生理とピルの仕組みについて解説していきます!!
【仕組み理解】なぜピルが効くのか?生理の仕組みから解説

生理は毎月来るけど、何で起こっているのかよくわかってないな~
ピルがどのように働くのかを理解するために、まず正常な生理の仕組みを知っておきましょう。
生理とは、約1カ月(約28日)の周期で起こる出血のことで、医療用語では「月経」と呼びます。
「妊娠に向けて受精卵が子宮にくっつく環境を整えては、不要なので体外に排出する」というサイクルを繰り返しています。

子宮は、妊娠しても大丈夫な環境をつくるために①増殖期と②分泌期、③月経期の3つのステップがあります。
増殖期(生理終了後~排卵前の約14日間)

病気がみえるvol.9 婦人科・乳腺外科(第4版)を参考に作成
増殖期では、エストロゲンが主役となります。エストロゲンの働きで子宮内膜の細胞が増えることで、子宮内膜がだんだん厚くなっていきます。

受精卵が着床しても大丈夫なようにエストロゲンがベッドの骨組みをつくっているんだね💡

卵巣の中では卵子が育っていき、排卵に向けて準備を進めていきます
分泌期(排卵後~生理前の約14日間)

排卵後のタイミングを「分泌期」といいます。分泌期では主にプロゲステロンがはたらきます。
分泌期ではプロゲステロンの働きで、子宮内膜が分泌物を出し、よりふかふかの状態になります。
これは、ベッドの骨組みにふかふかのベッドを敷いているイメージです。
受精卵が気持ちいい状態で寝床につけるように万全の状態を整えているのです。

プロゲステロンがふかふかのベッドを敷くんだね💡
この時期に基礎体温が上がり、体が妊娠に備えた状態になります。

生理の前にはこんなに大きな変化が起こっているのか⚡
しかし、妊娠をしなかった場合はベッドを壊さないといけません。それが次の月経期(いわゆる生理)です。
月経期(生理の3~7日間)

月経期は作ったベッドを取り壊す期間です。
妊娠が成立しなかった場合、エストロゲンとプロゲステロンが急激に低下します。
すると、せっかく準備したベッド(子宮内膜)が不要になり、剥がれ落ちて子宮外へ排出されます。
これが生理(月経)です。

いつも生理の最初が1番つらい。。。

ベッドの取り壊し作業でどうしてお腹が痛くなったりするの?
それは、子宮内膜から「プロスタグランジン」という物質が出るからです。
プロスタグランジンは子宮をギュッと収縮させて内膜を押し出す働きがありますが、この収縮が強すぎると激しい痛み(生理痛)になるのです。

では、次に生理中の悩みについて解説していきます!!
生理にまつわる3つの悩みとその原因
多くの女性が経験する生理中の主な悩みには、次の3つがあります。
①月経前症候群、②月経困難症(生理痛)、③過多月経
PMS(月経前症候群)

月経前症候群(PMS : premenstrual syndrome)とは、生理前3~10日の期間に続く心と体の不調のことです。
精神的な症状:イライラ、怒りっぽい、抑うつ状態、集中力の低下、不安感など
身体症状:乳房の張りや痛み、顔や足のむくみ、頭痛、眠気、だるさなど
これらの症状は生理が来ると軽くなったり消えたりします。
日常生活に支障が出るほど症状が重い場合(特に精神症状)、月経前不快気分障害(PMDD)と診断されることもあります。
明らかな原因は不明ですが、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが急激に変わることが関係していると考えられています。
月経困難症(生理痛)

月経困難症とは、生理に伴って起こる、日常生活に支障をきたすほどの痛みや不調のことです。
主な症状:下腹部痛、腰痛、お腹の張り、吐き気、頭痛、めまい、下痢
症状は生理前~生理開始2日目頃がピークで、生理の終わり頃には落ち着きます。
痛みの主な原因は、先ほど説明した「プロスタグランジン」です。
月経困難症は子宮内膜から産生されるプロスタグランジンという炎症を起こす物質が多いことが報告されています。
プロスタグランジンは子宮筋を「ぎゅーーー」って収縮させることで子宮内膜を剥がす働きがありますが、これが強すぎると腹痛などの症状が出現していると考えられています。
プロスタグランジンの産生を抑制するのがロキソニンです。
痛み止めが効きにくい場合や、年々症状が悪化している場合は、子宮内膜症などの病気が隠れている可能性もあります。
過多月経
過多月経とは、出血量が異常に多いものをいいます。
医学的には、1回の生理で140ml以上の出血がある場合を指しますが、ナプキンを量ることってあまりないのでいまいちピンとこないですよね💦
具体的な目安:
- 昼でも夜用ナプキンが必要
- 1~2時間でナプキンが満杯になる
- 夜中に何度もナプキンを交換しなければならない
- レバー状の大きな血の塊が何度も出る
- めまいや立ちくらみがある(貧血の症状)
過多月経の原因としては、子宮内膜が異常に厚くなっていることや、子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が隠れている可能性があります。
放置すると貧血が進行し、日常生活に大きな支障をきたします。

症状は本当に人それぞれです。
次にピルを飲むと生理のサイクルがどのように変わるのかみていきましょう!!
【体の変化】ピルを飲むとどうなる?体の変化を解説
通常の生理周期の場合
- エストロゲン:増える→減る→また増える(波がある)
- プロゲステロン:増える→減る→また増える(波がある)
このホルモンの波によって、排卵が起こり、生理が来ます。
ピルを飲んでいる場合
- エストロゲン:一定の低い量をキープ
- プロゲステロン:一定の低い量をキープ
外から少量のホルモンを毎日補給することで、波がなくなります。

この状態だとなにが良いの?

脳には、体の中のホルモン量を感知する仕組みがあります。
エストロゲンとプロゲステロンが存在すると、脳にあるホルモンをだす司令塔が、
🧠「2つともあるからホルモンを出すように指令しなくていいか!」って認識します。
すると、脳から卵巣への「ホルモンを出せ」という指令が止まります。
その結果、卵巣は休眠状態になり、排卵が起こらなくなるのです。
この仕組みを「ネガティブフィードバック」といいます。
難しい言葉ですが、要するに「足りているから作らなくていい」という体の調整機能のことです。
ピルによって起こる6つの変化

排卵が止まり、ホルモンが安定することで、次のような変化が起こります。
変化1:排卵が止まる → 高い避妊効果
正しく飲めば、避妊成功率は99.7%以上です。
排卵しなければ、受精することもありません。
コンドームの避妊成功率が約85%(一般的な使い方の場合)なので、ピルの方が確実です。
変化2:子宮内膜が薄くなる → 過多月経の改善
増殖期がなくなるため、子宮内膜があまり厚くなりません。
剥がれ落ちる量が減るので、経血量が30~50%減少します。
過多月経で悩んでいた方は、生理が驚くほど軽くなります。
変化3:プロスタグランジンが減る → 生理痛の軽減
子宮内膜が薄いと、痛み物質のプロスタグランジンも少なくなります。
子宮の収縮が穏やかになり、約70~80%の方で生理痛が改善します。
「鎮痛剤が手放せなかった」という方が、薬なしで過ごせるようになることも多いです。
変化4:ホルモンの波がなくなる → PMSの改善
ホルモンが一定に保たれるため、心と体の不調が起こりにくくなります。
約50~70%の方でPMS症状が軽減します。
「生理前のイライラがなくなった」「気分が安定した」という声をよく聞きます。
変化5:生理周期が安定する
28日周期で規則正しく生理が来るようになります。
旅行や試験、結婚式などの大事な予定に合わせて、生理日をずらすこともできます。
生理不順で悩んでいた方には、特に大きなメリットです。
変化6:子宮内膜症の進行を抑える
子宮内膜症は、エストロゲンによって悪化する病気です。
ピルでエストロゲンを低く抑えることで、病気の進行を遅らせることができます。
手術後の再発予防にも使われています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は、生理の仕組みから、ピルがなぜ効くのかを解説しました。
仕組みが分かると、ピルのメリットがどうして生まれるのかも、きっと納得できるはずです。
ピルの具体的なメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください😊
最後までお読み頂きありがとうございました🥰
【参考文献】
病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科(第4版)




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