糖尿病があっても妊娠できる?

合併妊娠

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こんにちは!産婦人科Dr.ずーです!

まだ医師になりたてのヒヨコで、日々たくさんの経験を積んでいます。

患者さんの疑問や不安についてブログならもっと分かりやすく解説できるのではないかと思い投稿を始めました(#^^#)

私について興味をもって下さった方はこちらの記事を読んで頂けると嬉しいです🥰

こんにちは!産婦人科Dr.ずーです🐣
産婦人科医をしながらどうしてブログを始めようと思ったか。自己紹介を兼ねてお伝えします!

今回は糖尿病の人の妊娠について解説します!!

この記事はこんな人にオススメです!

・糖尿病があって将来的に妊娠を考えている人

・糖尿病を合併している妊娠のリスクを知りたい人

・娘が糖尿病で今後妊娠してもいいのか気になる人

それでは解説にいきましょう!!

糖尿病があっても妊娠していい?

そもそも糖尿病があっても妊娠してもいいの?

自分自身が糖尿病であったり、娘が1型糖尿病である場合、将来的に妊娠してもいいのかしばしば聞かれます。

過去には、「糖尿病だと妊娠は無理」と言われた時代があるそうです。。。。

答えは、、、

「妊娠出来ます」

やったーー!!!

ただし、「今」妊娠してもいいという訳ではありません

妊娠に適した状態にしてから妊娠をしないと、母児共にたくさんの問題が生じます可能性が高くなります⚡

具体的にどんなこと?

では、次に妊娠初期に起こりうることについて解説していきましょう!

糖尿病合併妊娠のリスク

糖尿病合併妊娠のリスクは大きく分けて母と児の2つに分けることが出来ます。

母:糖尿病合併症(網膜症や腎症)の悪化

児:先天異常、流産

リスク(母)

糖尿病のある女性が妊娠をした際に気をつけないといけないのは糖尿病合併症の有無です。

糖尿病によって眼や腎臓が悪くなっている場合、妊娠すると増悪する可能性があります

そのため、妊娠前に眼科を受診し眼の検査をしてもらう必要があり、もし糖尿病性網膜症があり加療が必要な場合は光凝固療法を受ける必要があります。

糖尿病性腎症がある場合は、妊娠合併症が高率に発生します。

つまり、高血圧が出現したり、高血圧・妊娠高血圧腎症が悪化して胎児が十分に発育しないなどです。

リスク(児)

次は児についてです。

妊娠前の血糖コントロールが不良だと、形態異常や流産になる可能性が高くなります

糖尿病がない場合、大奇形になる確率は1.2~3.7%です。

それに対して糖尿病を合併している妊娠の場合、大奇形の確率はなんと5.2~16.8%です!!

(ここで言う大奇形とは、致死的・手術を必要とし、生活にハンディキャップが予測される障害のことです)

形態異常としては、中枢神経や心臓、腎臓が多いです。

こんなに違うの!!?

そうなんです💦

そして、流産は形態異常を防ぐよりももっと厳格な血糖コントロールが必要なんです。

コントロール良好の場合、流産の確率は10%です。

それに対してコントロールが不良だと45%まで上がります。。。。

血糖コントロールが悪いとこんなに怖いことがたくさんあるのね。。。。

そうなんです。だから、妊娠を希望される場合は妊娠前から十分に管理をする必要があります!!

次に妊娠前に何をするのか具体的な内容をみていきましょう!!

妊娠前に行うこと

妊娠前に次の2つのことを行います。

①血糖コントロール

②薬剤の中止・変更

血糖コントロール

妊娠前からの血糖コントロールはめっちゃ大事です!!!

「そんなに大事なの?」

とても大事です!!妊娠前から血糖コントロールを行う目的は先ほど言った内容も合わせると次の4つを減らすためです。

①自然流産、②先天異常、③糖尿病性網膜症の進行、④死産

特に、高血糖は催奇形性があって受胎後数週の期間中の血糖コントロールが不良だと先天異常のリスクが高まります。逆に言うと、最適な血糖コントロールを妊娠前に達成すると先天異常を70%減少させることが可能といわれています。

具体的にどれくらいの血糖値にしたらいいの

目安はHbA1c 6.5%未満です。

(HbA1cは1~2ヵ月の血糖値を反映したものです)

下のグラフを見てください。これはHbA1c別でみた先天異常の頻度です。

引用:国立成育医療研究センター

赤枠で囲ったところから急に先天異常の頻度が高くなっていますよね。

そのため、HbA1c 6.5%未満が目安となります。

薬剤の中止・変更

妊娠を予定している場合は原則糖尿病の内服薬は中止し、代わりにインスリンを使用します。

どうして?

インスリンは昔から使用され安全性が確認されていますが、内服薬は催奇形性、流産、児の長期的な安全性が明確になっていないからです。

海外では使用可能な薬もあるけど、日本では原則インスリンへの変更が推奨されています。

また、糖尿病の場合、高血圧や脂質異常症も合併している方も多いと思います。

非妊娠時の降圧薬はACE阻害薬やARBをよく使うのですが、これらの薬は児の腎臓に悪影響を及ぼすといわれているので中止します。妊娠中は代わりにメチルドパ(アルドメット®)などを使用します。

脂質異常症の薬も中止します。理由は、妊娠中にコレステロールを下げる治療を行っても長期にみると影響しないからです。

最後に

いかがでしたでしょうか。

今回は糖尿病の方が妊娠前に知っていてほしいことについて解説しました!

まとめると以下の通りです!

①糖尿病でも妊娠していい

②ただし、コントロール不良のまま妊娠をすると母児ともに問題発生率が高くなる

③妊娠前にきちんと血糖値コントロールと薬の変更を行う必要がある

以上になります!

今回も最後までお読み頂きありがとうございました(#^^#)✨

【参考文献】妊婦の糖代謝異常 診療・管理マニュアル 第3版

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