はじめに
お腹が痛かったりすると、病院でレントゲンやCTを撮ることがありますよね!
そのとき、妊婦さんや妊娠する前の方で「放射線って赤ちゃんに影響ないの?💦」って心配になる方も多いと思います。
そこで、今回はガイドラインや臨床に基づいて説明させて頂きます✨
まず、赤ちゃんに対する放射線の影響は2つポイントがあります。
- 放射線をあびた時期
- 放射線の線量
放射線をあびた時期
放射線をあびた時期によって次の3つに分けられます
- 受精後10日まで
- 受精後11日~妊娠10週
- 妊娠9週~妊娠26週
では、1つずつ解説していきますね😊
受精後10日まで
結論から言うと、この時期の放射線被ばくで奇形になることはありません!!
受精後10日というのは、妊娠3週~妊娠4週の間(妊娠3週3日)のことで、この時期から妊娠反応が陽性になるかな!?っていうタイミングです。
もし、放射線の影響が出る場合は流産になります。
逆に、流産せずに生き残った場合は完全に修復されて奇形などの異常を残すことはありません!
これを「all or noneの法則」といいます。
法則の名前そのまますぎる!!
なので、もし流産していたら妊娠反応は陰性で気づかないし、逆に陽性だったら通常通りってことですね🤔
また、受精後13日までの説もありますが、ガイドラインでは安全を見込んで受精後10日までを採用しているので同じく「受精後10日まで」を採用しました。
受精後11日~妊娠10週
まず結論から言います!
受精後11日~妊娠10週では、50mGy以上の線量をあびると奇形になる可能性がある。
奇形になっちゃうのか。。。。
ちょっと待ったーーーー!!!!
実際使用されるレントゲンや放射線の線量は通常50mGy未満の線量であり、誤って放射線治療を受けた場合や原発事故など特殊な場合を除き、胎児への影響は少ないです!!!
下の表は検査別の赤ちゃんへの被ばく線量です。
(産婦人科診療ガイドライン 産科編2023より抜粋)
この中で問題になるのはCT検査の腹部や骨盤部ですね(腹部49mGy、骨盤部79mGy )
骨盤部だと50mGy超えちゃうじゃん( ;∀;)
確かに、最大胎児被ばく線量の方でみると50mGyを超えます。そして、実際に先生から話を聞くときにも、こっちの数字を基に話されると思います(医者はどうしても最悪の場合を伝えないといけないので💦)
しかし、先ほども言ったように実際は50mGyを超える検査はほとんどないので、1回CT検査をしたからといって赤ちゃんへ影響を及ぼすことは少ないです!!
ちなみに、妊娠4週~10週は器官形成期といって、脳や神経、心臓などの臓器など重要な器官ができる期間です🧠👀
100mGy以上の被ばくで奇形発生率が上昇するという報告があります。逆にあるレポートやアメリカのガイドラインでは、「50mGy以下の被ばくは胎児奇形や胎児死亡などの有害事象は引き起こさない」と記載されていることから、より安全性を重視して「50mGy」となっています😊
妊娠9週~妊娠26週
まず、妊娠9週~妊娠16週の中枢神経系(脳や脊髄)は、細胞分裂が盛んにおこなわれています🔥
そのため放射線の影響を受けやすく、被ばくによって精神発達遅滞の頻度が上昇する可能性があります。
この時期を過ぎた妊娠17週~妊娠26週では、中枢神経系の放射線の影響は少なくはなるけど影響は多少受けます。
重症精神発達遅滞は500mGy以上の被ばくで起こり、1000mGyだと40%、1500mGyだと60%の確率で起こります。
また、100mGy以上の被ばくで小頭症(頭が小さくなる)が増加したの報告もあり、ラインは100mGyとなってます。
怖すぎる。。。。。
ここまで怖い話をしましたが、何度も繰り返し言っているように、
実際は50mGyを超える検査はほとんどないので、赤ちゃんへ影響を及ぼすことは少ないです!!(3回目?笑)
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は、放射線の赤ちゃんへの影響について説明させて頂きました。
難しい内容も多々あったとは思いますが、この記事で伝えたいことは何かわかりますよね???笑
そうです✨✨
実際は50mGyを超える検査はほとんどないので、赤ちゃんへ影響を及ぼすことは少ないです!!(しつこいですね💦笑)
大事なことなので4回繰り返しました👍
また、ガイドラインの最後にはこのような文章が載っています
「不要な妊婦被ばくを抑制する努力は必要であるが、臨床上必要があると判断される場合には、CT等の検査を控えるべきではない」
ということで、「放射線=怖いもの」という考えが強すぎて医者側もつい検査への抵抗感が強くなりがちですが、CTじゃないと分からない情報も必要という場合にはためらってはいけないというメッセージですね💦
今回はここまでです!お読みいただきありがとうございました(#^^#)💕
【参考文献】
産婦人科診療ガイドライン 産科編2023
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