お腹が痛いときなど、病院でレントゲンやCT検査を受けることがありますよね。
そんなとき、「放射線は赤ちゃんに影響しないの?」と心配になる方も多いと思います。
今回は、診療ガイドラインをもとに、時期ごとの影響についてわかりやすく解説します。
赤ちゃんへの放射線の影響は、大きく2つのポイントで決まります。「浴びた時期」と「浴びた放射線の量」です。
【受精後10日以内の放射線の影響】
受精してから10日以内(妊娠3〜4週ごろ)に放射線を浴びても、赤ちゃんに奇形が残ることはありません。
この時期は、まだ妊娠検査薬で陽性になるかどうかという、とても早い段階です。
もし影響が強く出た場合は、赤ちゃんが育たず流産という形になります。逆に、無事に育った場合は、影響がすべて修復されると考えられています。
これを「オール・オア・ナッシングの法則」と呼びます。「全部だめになるか、まったく問題がないか、どちらかしかない」という意味です。

法則の名前、そのまますぎる!!

本当ですよね(笑)でも覚えやすいでしょう?
つまり、この時期に検査を受けていたと後から分かっても、妊娠が順調に続いていれば心配しすぎなくて大丈夫ですよ。
【妊娠10週までの放射線量の目安】
受精後11日から妊娠10週ごろまでは、50mGy(ミリグレイ。放射線の量を表す単位です)以上を浴びると、赤ちゃんに奇形が生じる可能性があるとされています。

奇形になっちゃうのか…。

ちょっと待ってください。実際の検査で使われる放射線量は、通常この量よりもずっと少ないんです。
数値が高くなりやすいのはCT検査で、お腹や骨盤を撮る場合は50mGyを超えることもあります。

骨盤部だと50mGy超えちゃうじゃん(;∀;)

確かに数字だけ見るとそう見えますよね。でも、1回のCT検査だけで赤ちゃんに影響が出ることは、めったにありませんよ。
この時期は、脳や心臓など体の大切な部分が作られる「器官形成期」でもあります。だからこそ、念のため慎重な目安が設けられているのです。
【妊娠9週以降の放射線への注意点】
妊娠9週から16週ごろは、脳や脊髄(せきずい)といった神経の部分が、活発に作られている時期です。
そのため、この時期の放射線は、赤ちゃんの発達にわずかに影響する可能性があると言われています。
具体的には、500mGy以上でまれに発達の遅れが、100mGy以上で頭が小さくなる「小頭症」が増える可能性が報告されています。

怖すぎる…。

これはかなり高い放射線量での話です。通常の検査で使われる量とは大きく違うので、過度に心配しなくて大丈夫ですよ。
ここまで数字を交えてお話ししましたが、一番お伝えしたいのは「通常の検査で使う放射線量なら、赤ちゃんへの影響はほとんどない」ということです。
【MRI検査と妊娠】
ここまでレントゲンやCT検査についてお話ししてきましたが、「MRI検査」はどうなのでしょうか。

MRIも放射線をあびるんでしょ?怖いなぁ…。

実は、MRI検査ではレントゲンやCTのような放射線は使われていませんよ。
MRIは、磁力と電波を使って体の内部を撮影する検査です。レントゲンやCTとはまったく違う仕組みなので、被ばくの心配はありません。
これまでのところ、MRI検査によって赤ちゃんに悪い影響が出たという確かな報告はなく、妊娠中でも比較的安全に受けられる検査と考えられています。
ただし、一つ注意点があります。MRI検査で使う「造影剤」という薬(体の中を見やすくするための薬)は、胎盤を通って赤ちゃんに届く可能性があるとされています。
そのため、造影剤を使うMRI検査は、どうしても必要な場合を除いて、妊娠中は避けることが多いです。
つまり、「造影剤を使わないMRI」であれば、レントゲンやCTで被ばくを心配するより安心な選択肢になることもある、ということですね。
実際、診療ガイドラインにも「必要な検査は、妊娠中でも控えるべきではない」と明記されています。
体の不調があるときは、我慢せず病院を受診してくださいね。心配なことがあれば、担当の先生にいつでも相談してみましょう。
【参考文献】
・産婦人科診療ガイドライン 産科編2023



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