赤ちゃんが「18トリソミー」と言われると、頭が真っ白になるかもしれません。何を聞けばよいか分からないのも、とても自然なことです。
インターネットでは、厳しい言葉や数字だけが目に入ることもあります。この記事では、現在分かっていることを、できるだけやさしくお伝えします。
すぐに気持ちを整理できなくても大丈夫です。何度か説明を聞きながら、医療チームと一緒に考えていけます。

何を聞けばいいのかも、よく分からなくて…

それでだいじょうぶです。分からないことは、何回でも聞いてくださいね。
この記事でわかること
- 18トリソミーがどのような状態か
- 妊娠中と生まれたあとに考えられる経過
- 検査で分かることと、分からないこと
- 出産方法を考えるときのポイント
- 生まれたあとの治療やケア
- 困ったときに相談できる場所
診断名だけで、すべてが決まるわけではありません。方針は、赤ちゃんの状態やご家族の願いをもとに、医療チームと一緒に考えていきます。
【18トリソミーとは:どんな状態?】

18番染色体が1本多い状態です
染色体は、体をつくる遺伝情報をまとめているものです。通常、1番から22番までの染色体を、それぞれ2本ずつ持っています。18番染色体が3本ある状態を、18トリソミーといいます。これにより、体の成長や臓器のつくりに、さまざまな特徴がみられます。
多くは、卵子や精子がつくられるときの、偶然の変化によって起こります。妊娠中の生活や、妊婦さんやご家族の行動が原因ではありません。年齢が高くなるほど、起こる可能性が上がることは知られています。
次の妊娠で起こる可能性は、染色体の型や年齢などで変わります。詳しく知りたい場合は、遺伝カウンセリングで相談できます。遺伝カウンセリングとは、遺伝に詳しい専門職から、検査や次の妊娠について説明を受ける場です。
どのような特徴がありますか?
特徴の種類や程度は、赤ちゃんによって違います。よくみられるものには、次があります。
- 心臓の病気や、心臓のつくりの特徴
- おなかの中での成長がゆっくりなこと
- 羊水(赤ちゃんの周りの水)が多くなること
- 手を握り、指が重なっていること
- 足の裏が丸く、かかとが目立つこと
- あごが小さいこと
- 食道や横隔膜などの病気
- 呼吸や栄養に支援が必要になること
すべての赤ちゃんに、同じ特徴があるわけではありません。超音波(エコー)検査で分かることもありますが、超音波だけでは確定できません。
どのように診断しますか?
超音波検査では、赤ちゃんの成長や体のつくりを確認します。NIPTは、妊婦さんの血液から、18トリソミーの可能性を調べる検査です。可能性を調べる検査(スクリーニング検査)なので、NIPTが陽性でも、確定ではありません。
確定診断には、羊水検査や絨毛検査が必要です。羊水検査では、おなかから細い針を入れ、羊水を少量採取します。絨毛検査では、将来胎盤になる組織を採取します。どちらも染色体を直接調べる検査で、検査に伴う合併症の可能性があります。
受けるかどうかは、検査の目的や時期、ご希望を確認しながら考えます。説明を一度で理解できなくても大丈夫です。ただし、妊娠週数により選べる検査や対応が変わることがあるため、期限も確認しておきましょう。
分からない言葉は書き留め、次の診察で一つずつ確認してください。
【妊娠中と生まれたあとの経過:分かっていること】
妊娠中の経過
18トリソミーでは、妊娠中に流産や死産となることが少なくありません。英国の登録データでは、出生前に診断された18トリソミー538例が調べられました。妊娠12週から出産予定時期までに、流産・死産となる割合は約7割でした。
これは2008年に報告された、集団全体の平均的な推定値です。妊娠12週に診断された一人ひとりに、そのまま当てはまる数字ではありません。妊娠週数、赤ちゃんの状態、染色体の型などで、経過は異なります。出産まで妊娠が続く赤ちゃんもいます。

7割…。その数字を聞くだけで、胸が苦しくなります。

そうですよね。数字は集団の目安です。あなたの赤ちゃんの経過を決める数字ではありません。
数字を聞くことがつらいときは、「今日はここまで」と伝えてもかまいません。
生まれたあとの経過

出生後の経過には、大きな幅があります。研究ごとの生存期間の中央値は、数日から約1か月でした。中央値とは、半数がその期間より短く、半数が長かったという意味で、一人ひとりの余命を示す数字ではありません。
出生後早い時期に亡くなる赤ちゃんが多いことも事実です。一方で、数か月から1年以上、家族と過ごす赤ちゃんもいます。カナダ(オンタリオ州)と欧州の大規模な調査では、18トリソミーの赤ちゃんの1年生存は、どちらも約12〜13%(およそ8人に1人)でした。これは集団全体の割合で、一人の赤ちゃんの確率ではありません。
国内の退院時生存に関する研究
国内の全国入院データでも、18トリソミーと13トリソミーの赤ちゃんが調べられました。対象は、生まれた日に入院した赤ちゃんです。退院時に生存していた割合は、2011年の約45%から、2022年の約58%へ上昇しました。
この数字は、18トリソミーと13トリソミーを合わせた結果で、18トリソミーだけの割合ではありません。また「生存して退院した割合」であり、1年生存率を示すものではありません。地域による差も報告されており、施設ごとの治療体制などが影響した可能性があります。
生まれたあとの治療
生まれたあとの支援には、次のものがあります。
- 体温を保つケア
- 酸素や呼吸の支援
- 母乳や栄養を届ける支援
- 心臓や消化管などの手術
- 痛みや呼吸の苦しさを和らげるケア
- 家族が一緒に過ごすための支援
すべての治療が、すべての赤ちゃんに適しているわけではありません。赤ちゃんに期待できる利益と負担を考え、ご家族の願いも確認しながら、医療チームと一緒に方針を考えます。
米国小児科学会は、診断名だけを理由に、治療を一律に控えることを支持していません。一方で、赤ちゃんの苦しさを和らげる緩和的ケアも、大切な選択肢です。
緩和的ケアとは:苦痛を和らげ、家族との時間を支えるケアです。病気を治す治療と並行して行うこともできます。「何もしない」という意味ではありません。
数字だけで判断せず、赤ちゃんにある所見を、担当医から具体的に説明してもらいましょう。
【出産とケアをどう決める?ご家族と一緒に考えること】
出産方法に、はっきりした正解はありません
経腟分娩とは、産道を通って出産する方法です。帝王切開とは、おなかと子宮を切開して、赤ちゃんを出産する手術です。18トリソミーについて、この2つを無作為に決めて比べた試験は報告されていません。
米国の一つの病院の観察研究では、18トリソミー150例が調べられました。出生した54例について、分娩方法による生存に、統計学的に明らかな差は確認されませんでした。ただし、これは「両者が同じ」と証明した結果ではありません。
別の研究では、6つの重い胎児の病気を合わせると、経腟分娩のほうで分娩中に亡くなる赤ちゃんが多くみられました。しかし、病気の種類や赤ちゃんの状態、出産方針が異なる人を比べた研究です。帝王切開が死亡を減らしたとは判断できません。
帝王切開には、出血、感染、血栓症などの母体への負担があります。次の妊娠で、胎盤や子宮に関する合併症が増えることもあります。
一方、生きて会える可能性を少しでも高めたいという目標を持つご家族もいます。その場合、分娩中の胎児心拍の監視や、緊急帝王切開を選択肢として検討します。ただし、帝王切開による利益が、はっきり証明されているわけではありません。母体への負担を減らすことを重視し、経腟分娩を検討することもあります。
どちらを選ぶ場合も、家族だけで背負わず、医療チームと一緒に考えます。
出産前に話し合っておくこと

出産前に、産科と新生児科のチームに希望や不安を伝えておきます。話し合う内容には、次があります。
- 出産する病院
- 出産の時期と方法
- 分娩中に胎児心拍を監視するか
- 心拍に変化があったときの対応
- 帝王切開を検討する条件
- 出生直後に行う呼吸などの支援
- 抱っこや面会、写真などの希望
- きょうだいや家族との過ごし方
- 方針を見直すタイミング
これらは「共同意思決定」という考え方で進めます。共同意思決定とは、医療者が情報を伝え、ご家族の願いを聞きながら決める方法です。ご家族だけで決めることでも、医療者が一方的に決めることでもありません。

決められるか、自信がありません。

ひとりで決めなくてだいじょうぶです。迷う気持ちも、そのまま話してくださいね。
最初に決めた方針は、固定ではありません。妊娠経過や出生後の状態を見ながら、変更することができます。
妊娠を続けるか悩んでいる方へ
妊娠を続けるかどうかについて、迷う方もいます。日本で人工妊娠中絶を行える時期は、通常、妊娠満22週未満(妊娠21週6日まで)です。
ただし、胎児の病気だけが、独立した法的理由になるわけではありません。母体保護法の要件を満たすかについて、指定医師の判断が必要です。
妊娠週数により選べる対応が変わるため、迷っている段階から早めに相談してください。相談することは、妊娠を中断すると決めることではありません。法令と医学的に可能な範囲で、気持ちや価値観を尊重しながら支援します。
誰に相談できますか?

- 産婦人科の主治医、助産師
- 小児科・新生児科の医師
- 臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー
- 緩和ケアチーム
- 医療ソーシャルワーカー、地域の保健師
- 心理士・公認心理師
- 同じ経験を持つ家族の会
家族会の話を聞くかどうかも、ご自身のペースで決めてかまいません。今はほかの家族の体験を知ることがつらいと感じる方もいます。情報を受け取らない選択も尊重されます。
結論を急がず、まず産科と新生児科の両方に相談してください。
【まとめ】
- 18トリソミーは、18番染色体が3本ある状態です
- 妊娠中と出生後の経過には幅があります
- 集団の数字は、個人の余命や確率ではありません
- 診断名だけで治療方針は決まりません
- 出産方法に、すべての人に共通する正解はありません
- 母体への負担と家族の願いを一緒に考えます
- 緩和的ケアは「何もしないこと」ではありません
- 方針は、妊娠経過や赤ちゃんの状態で見直せます
一度にすべてを決める必要はありません。質問をメモして、次の診察に持っていくことから始めてもかまいません。話を聞くだけでも大丈夫です。まずは相談先を一つ決めてください。
もっと詳しく知りたい方へ:産婦人科の研修医・専攻医の先生方向けに、より専門的な内容(妊娠中の経過のデータ、分娩方法に関する観察研究の読み方、出生後の治療のエビデンス、意思決定の進め方など)をまとめた記事「18トリソミーの管理と分娩方針:観察研究と共同意思決定」を、ブログ「ずーの産婦人科アウトプットver」に掲載しています。ご興味があればぜひご覧ください。
免責
この記事は、一般的な情報をお伝えするものです。個別の診断や治療方針は、赤ちゃんと妊婦さんの状態によって異なります。実際の方針は、担当の医療チームと相談して決めてください。この記事は、論文とガイドラインをもとに、AIの補助を受けて作成しています。
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